本文へスキップ

「たべること」「のみこむこと」にお困りありませんか?

TEL. 098-929-1140

〒904-0011 沖縄県沖縄市照屋1丁目14−14

介護食の基礎と作り方

介護食の基礎的な知識と作り方をご紹介します
注意

経口摂取(口から食べること)を長くなさっていない方の場合、自己の判断で食事を開始することは、危険なので、必ず医師の判断の下、開始するようにしてください。

@ 介護食の基礎的な知識

介護食の種類・段階には様々なものがあり、主に聖隷三方原病院の「嚥下ピラミッド」が有名です。
当研究所としては沖縄料理バージョンを作成してみました。

えん下ピラミッド
※クリックで拡大


ここではレベル3と4を次のような呼称で扱います。
  • レベル3嚥下食・・・・・・・・「ペースト食」
  • レベル4介護食(咀嚼食)・・・「やわらか食」

A 作り方

(1)気を付けること

  • ペースト食の基本的な仕上がりは、粒が残らず口の中ですべりよく移動する状態です。そうすることで、えん下障害で飲み込みが難しい方でも、のどをスムーズに通過することができます。
    しかし、対象者の状態によっては、粒があっても安全に食べられる方、反対に粒をなくし、とろみの調整をより細やかにする方もいるため、えん下障害には幅があり、各人の状態に合わせて提供する必要があるということを念頭においてください。

  • やわらか食の基本的な仕上がりは、歯の欠損や義歯装用している方が、口の中で舌と歯茎で押しつぶしながら咀しゃくできる状態にすることです。
    やわらか食もペースト食と同様に、各人の状態により配慮が必要となります。

(2)介護食の加工方法

やわらかく加工する・とろみをつける
肉、魚、野菜など、繊維があるものは、かみにくく、ペーストに加工しても口に粒や繊維質が残ってしまう場合があります。
そのために必要な加工方法として「切り込み」をいれること、「水分・熱・圧力を加える」ことなどがあげられます。
また、えん下の力が落ちている場合は、適度なとろみをつけることで、飲み込みがよくなる場合があります。
とろみ剤や、片栗粉、ゼラチンなどを利用してみましょう。

やわらか食のコツ「切り込み 〜 繊維を断つ」
野菜を手で裂いてみると、繊維の方向がわかります。
その方向に対して、垂直に切り込みをいれるように包丁をいれてから蒸したり、煮込んだりすると、歯に不具合がある方でも、食べやすい状態になります。

やわらか食・ペースト食のコツ「水分・熱・圧力を加える」
肉や魚、野菜をペーストにするときは、あらかじめ、たたいたり、切れ目を入れておき、それから調理します。
また、やわらかさとなめらかさ、ぱさつかないためには、ある程度の「水分量」「熱」「圧力」を加えると、よりなめらかになります。

例えば、沖縄の伝統料理「らふてー」なら、三枚肉に切れ目をいれたり、たたいたりしておき、通常食同様の味付けで、圧力鍋で炊き込み、最後に皮をはいでからみじん切りにして、とろみ剤、だし汁、調味液と一緒にフードプロセッサーにかけて、ペーストにします。

フードプロセッサーにかけてみたが、ぱさついて美味しくないという場合は、だし汁、適量の油分、とろみ剤と一緒にフードプロセッサーにかけると、なめらかになります。

注意の必要な食材
介護食における注意が必要な食材を以下に示します。
 かむほど口の中でバラバラになる食材  麺類、寒天、ピーナッツ、せんべい、きのこ、かまぼこ、ハム、しらたき、もやし
 のどにひっかかりやすい  もち、マシュマロ
 すっぱくてむせる  酢のものなど
 水分量が少なくパサつく  パン、蒸しパン、ビスケット、クッキー、きな粉、ゆで卵、赤みの魚
 水分と固形物が分かれる  果実(スイカ、マンゴーなど)煮浸し
 のど、うわあごの奥にはりつく  のり、海藻類、葉物野菜
 繊維があり、かみにくい  肉、生野菜(青葉など葉物、レンコンなど根菜、パイナップル、かんきつ類の房、たけのこなど)
 水分・唾液  さらさらした液体、味噌汁、お茶、ジュース、煮汁など
 弾力で噛みにくい  こんにゃく、きのこ、海藻類


介護食は食材選びが難しい場合も多く、慣れないとストレスに感じるかもしれませんが、一品ずつ慣れていき、味でレパートリーを広げていくとよいでしょう。

便利な調理器具


 @ フードプロセッサー  モーターによる歯の回転で、食材を切り刻み、混ぜる調理器具。肉のミンチ、魚肉のすり身・野菜のみじん切りなどを作る際に最適。少量作りたい場合は適しません。お湯と洗剤を入れて回転させるとある程度の汚れが落ちて片付けも楽です。
 A 耐熱タイプのミキサー  モーター搭載で混ぜる・刻む・潰す・砕氷などをこれ一台でこなせます。底はラバー製の足つきで安定感があり。耐熱なので温かいものでもミキサーにかけることができます。
 B アタッチメントタイプのミキサー  「刻む・おろす・混ぜる・砕く・ひく・あわ立てる」をこの一台で行うこどができます。素材を入れて押すだけで、料理の下ごしらえが簡単にでき、介護食を作る際に便利です。
 C ハンドミキサー  片手で持って、指先でスイッチを押すだけで簡単に操作できます。手短な容器をそのまま使って作ることができるため、一人分の量を作るのに最適です。先端のアタッチメントを交換すれば、つぶす混ぜる・泡立てるなど、一台で多機能をこなせます。




 D すり鉢・すりこぎ  少量の食材を潰すのに最適です。繊維の少ない食材ならフードプロセッサーやミキサーがなくてもOK
 E プリン型  すり潰した食材をゼラチンなどで固める際に便利です。
 F 裏ごし器  野菜や果物を蒸したものをこしたり、液体などをこしたりする際に便利です。舌触りの良いまろやかな感触にすることができます。
 G ゴムベラ  介護食器は柔らかくすくいにくいので、鍋やボウルについて食材を無駄なく落とすのに便利です。

様々な器具がありますが、ご自分にあった器具を探す目安として
  • 毎回作る分量
  • 作るメニューの種類
  • 洗いやすさ
  • 価格帯
などがあります。

1食分だけペーストにするなど分量が少ない場合は、バーミックスやアタッチメントタイプを、200g程度の作りおきを想定した量の場合はフードプロセッサーなどが向いています。

作るメニューの種類が多い場合は、モーター部分と容器が別で、容器の数が多いアタッチメントタイプが向いています。場合によりますが、旅行先などではこちらが良いかもしれません。

洗いやすさを項目にあげたのは、生ものをペースト状に加工する場合もあり、ペースト自体が腐敗しやすいため、しっかりと洗いがきく商品をおすすめしたいためです。
その点、洗いやすいフードプロセッサーはおすすめです。

価格帯としては3000円台から1万円を超えるものまで様々ですが、通販や大型店舗では、かなりお安く紹介している場合もあり、ちらしやネットの情報も上手に利用してみてはいかがでしょうか。

うちなー介護食と栄養学「4つの食品群」
 1群(乳・乳製品・卵)
・カルシウムなど不足しがちな栄養素を補給
 1郡イメージ
 2群(肉・魚・豆・豆製品)
・たんぱく質や鉄分など体の食材
 2郡イメージ
 3群(緑黄色野菜・淡色野菜・芋類・果物・海藻類)
・免疫や排泄など体調を整える
 3郡イメージ
 4群(穀類・砂糖・油脂・菓子類・種実類・アルコール)
・体を動かすエネルギー元
 4郡イメージ

この図は女子栄養大学の4群点数法をもとにした食品群の図です。
4つのグループから食品をそろえて食べることで、様々な栄養素がバランスよく摂取できる仕組みになっています。
これに介護食に必要な知識を交えながら各食品群を紹介します。
また、これらの食品群の中心には「水分」が存在します。脱水症状に気づきにくいお年寄りにとっては、「水分」を中心にすえ、その他の栄養摂取の方法を考えます。
1群
乳・乳製品・卵などの食品が該当し、カルシウムのほか、様々なミネラル、たんぱく質、脂質などをふくみます。主に骨の材料となる食品のグループとなり、ビタミンC以外の栄養素をふくむため、栄養バランス全体を整える作用があります。
牛乳やヨーグルトでシャバシャバしてむせやすい場合は、とろみ剤を加えると粘度の調整ができます。デザートとしてゼラチンで固めて、口どけの良いおやつとして提供してもいいかも知れません。チーズはポロポロしがちですが、ホワイトソース溶かし入れ、野菜のおかずなどにかけたり、ごはんにかけてもおいしくいただけます。

2群
肉、魚、豆、豆製品(主に大豆)の食品が該当し、たんぱく質や鉄分ビタミンB群を多く含む食品群です。体全体の材料であるたんぱく質は一日に一定の量を必要をします。
また貧血防止にはたんぱく質と鉄分を一緒にとることが大切です。このグループは両方の成分を含むため、食の細い方にはしっかりとっていただきたい食品群の1つです。またスタミナアップのビタミンB群も多く、疲れ気味の方にもおすすめです。豆腐は絹ごしやゆし豆腐より、島豆腐や木綿のほうがペーストにしやすく、舌触りの良い仕上がりになります。
食欲のないときにおかゆの上に調味した豆腐ペーストをかけてもおいしいです。
肉や魚は、加熱すると繊維が硬くなる場合があり、ポロポロしやすいので、生の状態で、つなぎ(卵、油脂、野菜のペーストやみじん切り、山芋など)といっしょにペーストにしてから、蒸したり、揚げて、あんと一緒に煮たりすると飲みこみが滑らかになります、最近ではペーストをあたたかいゼリーに仕上げられる「ゲル化剤」もあるので、それらを利用し、形をつけて温かくして提供することもできるようになりました。

3群
野菜類(緑黄色野菜、淡色野菜)・芋類・海藻類・果物類が該当します。
緑黄色野菜はビタミンA(カロテン)や他の色素を含み、抗酸化作用が強くアンチエイジングの栄養素の代表格です。一日に120g以上は摂取したいです。
淡色野菜はビタミンCや食物繊維、水分の供給源でもあり、水分摂取が難しいお年寄りには水分補給の一環として、おかずに登場させたい食品です。1日に最低240gは摂取したいです。
芋類海藻類も食物繊維に富み、便通を促します。
果物類は糖質を多く含み、エネルギーになります。カリウムやビタミンC、そして水分も多くふくまれる場合が多いので、間食などに上手に利用すると良いでしょう。
3群はいずれも繊維を含み、やわらか食やペーストにするときは、切り込みなど繊維を断つ加工が必要です。
加工を施すことで、かための葉野菜でもなめらかなペーストになりえます。じゃがいもなどは、やわらかく水分多めのペーストに加工すると、つぶつぶした食品をくるんで、のみこみをよくする効果があるため、活用の幅が広い食品です。

4群
穀類、脂質類、砂糖類、アルコールなど嗜好品が該当します。
主にエネルギー源になるので、1食あたり最低でもおにぎり1個分くらいの糖質は、脳のエネルギーの維持の為にも必要です。
脂質類、砂糖類、アルコールを極端に多く含んでいるような食品を、毎日多く摂取していると、体の負担も多く、疾病に繋がりやすくなるので、吟味して、楽しみながら適量の摂取を心がけましょう。
穀類は介護食においては、障害の重さに応じたやわらかさのおかゆに加工していきます。水分が分離してシャバシャバしてしまう場合は、一度良く混ぜて保温しておくとなじみます。また、とろみ剤を加えて提供してもよいでしょう。
また脂質は口からのどへすべりを良くする効果があります。適量加えることで、食が細い方にとってはエネルギー源にもなり、すべりのよい安全なメニューに仕上げられます。
砂糖類をつかった間食は、食の細い方にとっては貴重なエネルギー源になるため、乳製品、野菜類、豆類、芋類なども上手に混ぜながら提供するとよいでしょう。。


うちなー介護食と栄養学「定食形式で食べよう」

定食形式
「一汁二〜三菜」といいますが、日本食のこの「定食」スタイルは、食材のバランスがとりやすく、献立も立てやすい構成です。汁がすべりをよくするため食べやすく効果もあります。
これに、乳製品などカルシウムを多く含む食品をデザートや飲み物として加えると、栄養バランスがさらに整います。

主食は4群の穀類でエネルギーのもとに、主菜はたんぱく質を多く含む2群の食品と3群の野菜類が、副菜は主に3群である野菜のおかず、汁物には3群の海藻類、野菜類、2群の豆類など、様々な食材を使用します。
これに乳製品(だけではないですが)などカルシウムの多いヨーグルトやチーズなどを添えて献立をたてると、先に紹介した4群がすっかりでそろって、栄養バランスが完全になります。
またこのスタイルは、白いご飯を中心に、様々な味とご飯をまぜあわせ、味のバリエーション、刺激に富むスタイルでもあります。お年寄りにとって、脳への刺激があることは健康維持には欠かせません。ミキサー食に加工する場合も、可能な範囲で味のバリエーションをつくりながら提供できると理想的です。